今日は。ハルです。
今回は「カンブリア宮殿」に登場される 設楽 洋 社長(したらよう)さんについてです。
設楽さんは 日本のセレクトショップの草分け、『 BEAMS 』(ビームズ)の社長さんです。
コロナ禍で、大手デパート、ハイブランド、、、etc アパレル企業の経営破綻が続いているなか
「売り方」の大改革 をすることで わづか1年で 黒字へと V字回復 を果たしました。
その改革は、一体なんなのか?
一緒に見ていきましょう!
設楽 洋(したらよう)

1951年(昭和26年)ー 東京新宿区に生まれる。
1975年(昭和50年)ー 慶應義塾大学経済学部卒業。
1975年(昭和50年)ー 電通 入社。プロモーションディレクター、イベントプロデューサーで活躍。
1976年(昭和51年)ー 父の立ち上げた「BEAMS」の設立に参加。
「AMERICAN LIFE SHOP BEAMS」
1982年(昭和57年)ー 「(株)ビームス」設立。
1983年(昭和58年)ー 電通 退社。ビームス、新光(株)専務取締役 就任。

若い頃の 設楽社長の人物像は、、、生来のミーハー。(失礼!!)
★ 流行っているものには、すぐに飛びつく。
高校時代はバンドの全盛期。仲間とフォークバンドを組み、
髪はアイビーカット、ロンドンストライプのボタンダウンに裾を絞ったコットンパンツにコインローファー。
★ 次が来ればすぐに乗る。
浪人時代はウッドストックに影響され、髪を伸ばし、ベルボトムにロンドンブーツ、親指以外の指全てに指輪をしていた。
大学に入ったら、ヒゲを生やし はじめてサーファーになった。
ご自分の幼少時代からのことを振り返ります。。。
小さいころから、何でも興味津々だった。僕は新宿生まれだったから小・中学校のころは、夜に家を抜け出して歌舞伎町の街を見に行ったりするような子どもで、混とんとした文化の現場を見たいという興味が強かった。昔から何が時代を動かしているのかを観察し、時代が変わる現場に立ち会うことが好きだった。
担当関係なしに先輩に頼み込んで、お荷物のように顔を出した。今でもそうだが、無名のころから行きたい場所に行く、会いたい人に会うことに関しては貪欲だった。
アメリカに憧れて、どうにかアメリカの雰囲気を味わうために、米軍キャンプに忍び込む方法を考えたり、どんなに有名人でも、高校時代の友人とはご飯を食べに行くだろうと考えて、まずはその友人と友達になれば会えるかもしれないとか考えたりしていた。
結局会いたくても会えなかったのは、ジョン・レノンとアインシュタインくらい(笑)
引用:WWD https://haruchang.net/wp-admin/post.php?post=1082&action=edit
自分の夢中なものには、とても貧欲に真っ直ぐに飛び込んでいってますよね。
好きなものがハッキリしているというか、自分が心底 欲しい物が何かを知っている方ですね。
物があふれている今の時代、情報もたくさんあって、ネットでググればなんでも出てくるのに
『自分が本当に欲しいもの』が分からないまま過ぎていっている人多いと思います。
その対象が、『物』であれ、『者』であれ、『環境』であれ、、、、
社長はご自身のことをこう続けます。
僕はもともと、アーティストやミュージシャンといった、一芸に秀でたクリエーションに関わる人々に強い憧れがあった。自分もそうなりたいと思っていたし、実際に絵や音楽、スポーツなど割と器用に何でもできるタイプだったけど、やっぱりトップの人にはかなわない。そこで、プロの人を集めて何かを生み出すプロデューサーも一種のクリエイターだと考え、まず広告の世界に入った。学校を卒業した1975年に電通に入社して、その1年後には「ビームス」の創業に参画した。
引用:WWD https://www.wwdjapan.com/articles/1318209
『 BEAMS 』!!!
「ビームズ」の前身は、設楽社長のお父様「設楽 悦三さん」がつくった会社、
1953年創業「新光紙業(株)」(1083年、新光株式会社へと社名変更)という会社で
ダンボール事業を行なっていたそうです。
そして、1970年台前半のいわゆる ” オイルショック ”で 会社は、
原料である紙の値段が高騰した影響を真っ向に受けてしまい、
そのバランスを取るために事業を他の分野へ拡大していこうとします。
そこから、アパレル業界へ進出する事になったのです。
「新光紙業」の「光」から、”ビームス” をとったそうです。
1976年(昭和51年)、父親が立ち上げた 『 BEAMS 』の設立に参加し、
原宿に6.5坪 売り場は7畳のショップ、
『 AMERICAN LIFE SHOP BEAMS 』がオープン。
この頃の原宿(表参道)って、夜になると真っ暗で
「キディランド」ぐらいしか明かりがついていない
ガランとした道でしたよね。。。。
当時あった都営住宅の部屋でお店をしている明かりが、
ポツンポツンとついてるだけだったのを思い出しました。
そして当時、慶應大学を卒業して 1年の頃、大手広告代理店である「電通」で活躍していた 、
「設楽 洋」さんに事業を託すのでした。
設楽 洋 さんが 電通をやめて「BEAMS」に専念する頃、当時創刊されたばかりの
『ポパイ』とタッグを組み、さまざまな戦略を成功させてみるみるうちに人気ショップとなり、
日本最大級の 「セレクトショップチェーン」へと成長。
😳ちょっとここで、電通を辞めるまで社長は ” 二足のわらじを履いて ”いた???
当時、電通の上司に聞かれたそうです。
副業といえば、当時の局長に呼ばれて「お前、ビームスとかいう店をやってるだろう? ウチは副業禁止だぞ」って問い詰められたんですよ。そこで僕は「副業とはそっちからも収入を得ることです。僕はお金を注ぎ込んでるだけなんだから、これは趣味でしょ」と言い逃れた(笑)。最初は本当に注ぎ込むばっかでね。だから最初の7〜8年は電通のサラリーマンと「ビームス」の両方やってたんですよ。
引用:LEON https://www.leon.jp/peoples/80549
なかなか、お茶目な方ですよね。 笑)😅
❖ 「ポパイ」の出版社に大学時代からの友人「小黒一三 さん」がいた事で応援をしてもらったそう。
(人との繋がりもしっかり握っていられる、” 人たらし ” でもあるそうですよ!)
❖ 実のところ、父親が飲み屋さんで知り合った方から紹介してもらった
” ファッションに詳しい青年 ”、重松 理(しげまつおさむ)さん、
(現在の 「ユナイテッドアローズの名誉会長」)にお店を任せて始まったそうです、、、、
時代ですね。。。
1989年、一緒に頑張ってきた 重松さん が BEAMS から独立して ユナイテッドアローズ を設立。
BEAMS は 一時期、多数の重要なスタッフを失って 危機に陥ることが、、、
この出来事から、両者は ある意味 ” 完全な ライバル会社 ” となったのですが、
良い競争をしながら、刺激をしあって成長をしてきた歴史があります。
近年、アパレル業界は” 世界的な大不況 ”が始まっていたところに ” コロナ ” が追い討ちをかけます。
みなさんもニュースなどで知っての通り、「レナウン」の破産。
アメリカでも、、、、
「ブルックスブラザーズ」「Jクルー」「ニーマンマーカス」「バーニーズニューヨーク」
ファストファッションの「フォーエバー21」も経営破綻に。。。。。
ニュースを聞いたときには信じられない気持ちと、思い入れのある
いくつかの店舗や思い出が横切って、涙が出そうでした。。。。
景色が変わってしまうかのような変化です。

そして「 BEAMS 」も、1976年以来黒字を続けてきましたが、
2020年 コロナ禍でその経営は、初の営業赤字へと転落してしまったのです。
設楽社長は言っています。
「 コロナが終われば 元に戻る 」と思っている アパレルは淘汰される。
時代はすごく変わっている。
さあ、ここから 設楽社長の 新しい戦略 が始まります。
ビームス「は楽しさを伝える。」「新しい時代をつくる。」
その1:来店気分の ” オンライン接客 ” でネット通販!
コロナ禍でお店は休業状態の時、実店舗を構える「ビームス」も飲食業と同じく大打撃を受けました。
そんな中、スタッフ達は 自宅からSMS や 動画 でファッションやコーディネート、
ライフスタイル の発信を続けてくれたのだそう。
このことで、店でなくても集客ができる状況を作れるようになったのです。

『 ライブ配信 』によるネット通販は、、、実演販売を自宅で観れる わけです。
社員が実際の商品を着て、その風合いや着心地なども伝えることで
写真だけの通販サイトよりも ” 商品のことがよくわかる ” ・・・・・
さらに、配信を見ている お客さんから 直の「 質問 ・問い合わせ 」がくるので、
まさに来店しているかのような接客ができる事で、来店客の減少をカバーしたのです。
その2:一人一人に ファンを。
センスと個性で危機を突破する面白集団の「ビームス」!
ビームスは、自社サイトで 社員・アルバイトの誰でも投稿できるようにしました。
スタッフ自身がスタイリングをネットで提案しているのです。。。。
もともとファッションが好きなスタッフばかりで、それぞれの個性で発信をすることで、
同じお店の服でも人によってスタイリングが全く変わってくる 。
(ここが大事!)
それぞれのスタッフに ” ファン ” ができてくるのです!
いますよね、、、すごく素敵に着こなしている定員さん。(服の活かし方を知っているというのか)
自分では、「コレ、どう合わせるの?」って思う物をとても上手に入れ込んでいたり、
サイトにそのスタッフの身長を明記することで、その人の体型的な雰囲気が自分と似ていたりとかも
参考になりますよね!
「ブログで来ていたコレ、着てみたい。」と 指名で買い物に来るお客さんが増えると
スタッフの ” やりがい ” ・” モチベーション ” にもつながるのです。
” スタッフの一人一人にファンを ” !

★ スタッフにファンを作る戦略の中で「紳士服のカリスマ」や、社内コンペを勝ち抜いて
新しいレーベル 「 JOIEVE 」(ジョエブ)を立ち上げるような「スター」も出てきます。
入社7年目の「三条馬 夏海」(さんじょうばなつみ)さんです。
ビームスの社員で自らモデルとなり定期的に配信するのもさることながら、
SMSのフォロワー9.5万人という ビームスでも 抜きん出た存在で
若い女性たちからは絶大な支持を集めているのだとか。。。
もはや、、、インフルエンサーです。 (この方、本も出されています!!!)
全て私服で、100通りのコーディネートを紹介したものです。
同じような人が誰ひとりいなくて、一人一人の” 個 ”を認めるのが「ビームス」の良さなのだそうです。
設楽社長の目的は、、、
『 社員一人一人にファンがついて「この指とまれ」でお客が集まる集合体にしたい 』
うちの社員には、「スターなきスター集団になろう」と言ってるんです。つまり、1人のスーパースターに頼るのではなくて、各人がファンを作る。コアなやつには10人のファンがつくかもしれないし、マスっぽい人には100人集まるかもしれない。
引用:文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/14990?page=6

そして ビームスは ライフスタイル も提案しているブランド。
2014年から「BEAMS AT HOME」で、社員のライフスタイルを紹介!
設楽社長が「洋服のでないカタログを作りたい」ところから作られました。
すごく分厚い本(電話帳よりも分厚い!)がシリーズ累計30万部も販売されています。
★ スタッフの自宅を撮影(嘘のようにオシャレ、、、)して、目次には、スタッフの名前をつけている。
( って、個人情報は大丈夫なんですか??? ちょっとココ、抵抗ありました。)
お店にいるスタッフがどういう生活をしているのかを見せることで、
『「このスタッフの生活が自分に合う」と思われるとお客がついてくる。』と設楽社長はいいます。
自分と同じような収入でも、センス次第では、ちょっと手を伸ばせば手が届くもので生活しているのを
見せてあげることで、「お客さんに近いところにいる親近感」につながるのだと、、、
そして、実店舗であるお店は「スター」に会いに行ける劇場になるのだと。
ビームスの新しい売り方!

❖ 地方の観光地にビームスが入っている!!!(コラボ製品が続々。)
ビームスは、異業種とのコラボも手がけていて、年間やく500社ほどからのアプローチがあるそうです。
★ 世界遺産に登録されている、京都「西本願寺」のなかに「ビームス ジャパン」。
西本願寺との「コラボ Tシャツ」や 刺繍入りのたたみべりで作った「カード&コインウォレット」。
★ 世界遺産の広島県 安芸の宮島 にも出店。
★ 三重県 伊勢の 「伊勢神宮」にも出店。
★ 長野は、善光寺の門前に出店。
★ 山形では、「伝統工芸品」(けん玉など)などにスポットを当ててその地域の魅力を発信する事で、
地域を盛り立てるのに一役をかっている「ビームスジャパン」。
★ 岡山は、全国的な学生服のメッカ!その生産量は実に 7割 を占める。
学制服の 老舗メーカー「菅公学生服(カンコー)」は年間 約700万着を生産している、
その「カンコー」と「ビームス」はコラボした製品を販売。
セーラー服をモチーフにした「カードケース」や、
スカートのプリーツ生地を使った「トートバッグ」などを期間限定で実験販売して、
今後の定番化を目指している。
❖ これからの実店舗は「単に店で物を売る」だけではないものが大切になる。。。
『 買い物をするだけでなく楽しい時間を提供できる場にしたい。』というポイントから
広〜い試着室を提案するのです。
試着室に一緒に入れることで お客さんは、連れの家族や友人と楽しい時間を過ごすことができる。
❖ 近い将来へ向けての新しい店舗は、「バーチャルマーケット」
仮想空間でのお買い物ができるのだそうです。
新時代のショッピングスタイルですね!
約80の企業が参加していて、来場者は来場者はすでに100万人以上になるそう。
(SF映画の世界がもう一つ現実になっていくのですね、、、、)

目指していくこと
ー アパレル界のサステナビリティ ー(SDGs とファッション)
時代の流れからも、地球環境を考えた事業展開がこれから重要だと設楽社長は言っています。
「廃棄しない」「焼却しない」「無駄にしない」
ビームスは2020年、『衣類の廃棄ゼロ』を宣言しました。
安いコストで大量生産して、セールで売って、余ったら焼却という業界の常識を思い切り変えていくことですね。セレクトも仕入れ量をコントロールしながらプロパーで売っていく。それには一つ一つの商品をお客さまに伝えて売っていくことが大事になります。そのためにビームスは人から良さを伝えていく“ヒト政策”みたいなものをやっていて。実際に、うちの自社サイト売上の約7割はスタッフ投稿を経由したものです。
引用:FASHONSNAP.COM https://www.fashionsnap.com/article/beams-top-2022/page/2/
ビームスには 自社商品の在庫管理を常に徹底して、使える商品をコンセプトによって再利用する
「ビームスクチュール」という在庫品で服をリメイクする専門のレーベルがあります。
手作業でのリメイクによって、他にはない一点ものの商品に生まれ変わるわけです。
中には、訳あり品や 売れのこり品 など色も柄もバラバラの商品。
あえて、ビームスのロゴの上に重なるように刺繍を入れることで ” 再生した服 ” であることを強調。
誰もがものを大切に使う世の中に「ムダ」を無くすのだそうです。
ブームになったショップバッグも廃止したそうです。

今の時代に必要なビームスの役割
「数ある中から、これがいいよ」って言ってあげるのがセレクトショップの役目。
これができるのは、「セレクトショップ」「カリスマ」「有名人」だけ、なのだと。
モノと情報に飢えていた時代のセレクトショップは、「これ見たことないでしょ」とモノを見せてあげることが役割でした。それに対し、モノや情報が溢れるいまの時代、われわれがやるべきことは、むしろ情報を絞ってあげること。数あるアイテムのなかから、「これいいでしょ」と提示する役割が求められています。時代を越えて支持され続けてきた「キュレーションの眼」をもつわれわれだからこそ提供できる、新しい時代の価値だと考えています。
引用:ベンチャー通信 https://v-tsushin.jp/interview/vt77_beams/
設楽社長が社員に言っている言葉が、『 コクとキレが必要だ。』だそうです。
コクというのは本流のいいもので、キレというのは一瞬にして「クーッ」となる要素ですよね。キレだけだと一瞬で終わっちゃう。たとえば週刊文春でも、強烈なスクープもあれば、コクのある連載もある。その両面が大事で、どういう風なバランスで展開していくかなんです。
引用:文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/14990?page=4
そして、若者に対してはこのように応援しています。
若いころは、いろいろな対象に興味のアンテナを伸ばしてください。そして、リアルな体験でえられる熱や空気感を大切にしてください。情報だけなら、インターネットでいくらでも取得できる時代ですが、リアルな体験でえられる感動には勝てません。また、フィルターバブルのなかで、見たい情報しか見えない世界のなかでは、どんどん自分の興味の範囲が小さくなってしまう。リアルな体験からひらめくアイデアが、その後の人生やビジネスに活きることは往々にしてあるもの。ですから、私は68歳になったいまも、それをつねに心がけていますよ。
引用:ベンチャー通信 https://v-tsushin.jp/interview/vt77_beams/
まとめ!
「ビームス」、知り合いのスタッフがいるほど立ち寄ってはいなかったのですが、
本当に色々な物を作っているのですね。
カップラーメンから車まで、、、とは。
そして、この集団を引っ張ってきた設楽社長さんは、
対談でお話しされるときのエピソードなど、とても楽しい方でした。
とても魅力的なオジ様でしたね。
日本で欲しいものが手に入らなかった昔、(世代は違いますよ!)アメリカに行ったときに
とてもセンスの良いスタッフ(オーナーでしたが)とのやり取りを思い出しました。
向こうはもっとカジュアルなコンタクトを取ってくるので、いいと思ったものが入るとすぐに電話してきましたけど、、、
コロナ禍で残っているのかは分かりません。残念です。
世界的に 地球の環境を考えて舵を切り直している今、消費者の私たちこそが
もっと方向を強く意識していくべきなのですよね。
コロナ禍で、ある意味すべての人がそれ以前とは生活が変わったのだと思います。
今なら、もっとすんなりと色々な変化を受け入れやすい状態なのだとも思います。
設楽社長さんがあげた 今年2022年のスローガンが『そこに愛はあるのか』だそうで、
ちょっと、大地真央さんが浮かんでしまいましたが、(大変に失礼!!)
私たちの生活・文化には結局その ” 愛 ” が一番 根っこに必要な要素なのだと思いました。
ファッション業界って、正直、最初は「見なくていいや」と思ってしまったのですが
(すみません!)
調べてみてよかったです。
思い込みは良くないですね。。。
アイキャッチphoto by BEAMS https://www.beams.co.jp/shop/
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